日本の女性管理職の比率が低いことは、よく耳にしますね。
2021年3月31日、世界経済フォーラム(WEF)が発表した各国の男女平等の度合いを示す「ジェンダー・ギャップ指数」で、日本は156カ国中120位。前回(121位)同様、先進国で最低水準だったそうです(4月1日付日経新聞より)。
また、2020年の男女共同参画白書によると、企業では管理的職業従事者に占める女性の割合は直近で14.8%。米国が40.7%、ノルウェーが34.5%ということからすればまだまだ低いですね。
さて、私は管理職になって5年目、課長職に就いて2年目になりました。
今回は管理職5年目を迎えての個人的な所感を綴りたいと思います。
女性管理職誕生、私の場合。
私は若い頃、管理職、つまり部下をもってマネジメントを行う人は、頼りがいがあって、部下の面倒見がよくて、仕事上の責任は持ってくれる、そういう人だと思っていました。でも、30代後半になる頃、どうやらそうでもないと感じるようになってきました。
上司になる男性管理職が、どの人も頼りにならず、部下のことも見ない、相談しても判断をしてくれない、そんな状態が続いたからです。
管理職なんだから、役職手当もらっている分働いてよ!と最初は憤っていましたが、そのうち上司に管理職としての働きを求めるのが面倒になってきて、私は上司の指示を仰ぐことをせず自分の判断で仕事を進めるようになりました。上司にするのは報告だけ。
男性社員は大卒で採用され、将来は管理職になることを前提に社員教育を受けているはずです。でも、その全ての人が管理職に向いているわけではない、ということに私はやっと気が付きました。
会社には、
- マネジメントができる人=管理職に向いている人
- マネジメントができない人=管理職に向いていない人
がいます。
日本の企業の大半が採用している終身雇用制度では、管理職に向いていようがいまいが、長くいれば自動的に一定の管理職になれる仕組みです。
管理職についているからといって、その能力を認められてなったわけではないんですよね。それに、管理職になるための研修を受けたからって、能力がつくわけでもないんです。
大企業なら管理職に向いた人も大勢いて競争も激しいと思いますが、私のいる中小企業ではそんな人材は多くいません。
私の職場では、そのような「管理職に向いていない男性たち」に経営陣が愛想を尽かし、8年前から女性を管理職に登用し始めました。自然な流れで私も社内の女性管理職第3号となりました。私の職場では、性別に関係なく管理職に向いている人が管理職になった、というのが実態です。
女性管理職にとって働き方改革は追い風
管理職になって思うのは、女性管理職が活躍できる業界、職種はまだ限られていること。どうしてもそれは仕方のないことだと思います。私は転職の末、10年前から今の職場にいますが、たまたまその環境に恵まれたと言えます。
また時代とともに、残業や飲み会などの会社の付き合いも減っていますし、女性が管理職として働きやすくなってきていると思います。
さらに拍車をかけたのはテレワークの導入ですね。家庭を持つ私にとっては追い風となりました。働き方の自由度が広がって、家庭との両立が楽になりました。
管理職になると立ち位置が変わる
管理職になると、責任が増えて、部下のことも見ないとならないし、忙しくなるだけとネガティブなイメージを思っていたところがありました。でも実際はマイナス面ばかりではありませんでした。
例えば、作業に振り回されることがなくなりました。そういう仕事は別の人に振るか、アウトソースするか、やめてしまうことができ、自分はマネジメント業中心になりました。
また、自分のやりたい仕事に集中できるようになりました。前からやりたいと思っていたことをやらせてもらえる機会が増えましたね。
人によっては管理職になって、自分の仕事(作業)とマネジメント業の両方でいっぱいいっぱいになってどうにもならなくなっている人もいます。
そういう人は“作業”をさっさと手放すことを考えたほうがよいと思います。「そんなこと言ったって、この仕事やってくれる人なんていない」と思うかもしれません。それならその仕事、思い切ってやめちゃったらどうでしょう。本当は必要のない仕事かもしれません。私はやめてしまった仕事がたくさんあります。
管理職は思っていたより楽しい
管理職になってみて、思っていたより楽しい、というのが今のところの感想。
なぜなら自分のやりたい仕事ややりたいビジネスを実現できる機会が圧倒的に増えたからです。
周りの男性管理職との付き合い方ですが、特段気にすることもなく、淡々としています。
会社は仕事をする場所ですから、それ以外の余計な感情は持たずドライにやっていくのが元々の私のスタンスです。
女性で管理職を希望しない人が多いというトピックを見掛けましたが、個々の職場によって事情は異なります。これから管理職になる世代の女性には、管理職はハードなもの、という固定観念を持たず、チャンスがあればトライしてほしいと個人的には思います。
管理職の仕事のやり方は自分で決めていくものです。
やってみると、別の景色が見えてくるかもしれません。