ピアノを再開してから二度目の発表会がつい先日終わりました。
一度目は、「本番で暗譜が頭からふっとんで弾けなくならないように、とにかく最後まで弾き終えること」が目標でした。二度目になると、少し余裕が出てきて、本番までに色々と準備できたように思います。
今回は、ピアノの発表会に出る時の心得として、私なりに実践していることを紹介したいと思います。
1. 発表会本番からスケジュールを逆算
今回私は昨年11月下旬から取りかかっていた曲を7月の発表会で弾くことにしました。が、発表会に出ることを決めた今年2月時点で、恐らく曲自体は4月頃に完成してしまって、7月までモチベーションが続かないだろうという予感がありました。発表会までモチベーションを切らさず、本番にピークを持っていくことがポイントでした。
そこで、5、6月は発表会の曲は暗譜を忘れない程度に軽く通したり、毎日弾かず、弾いても日によっては1曲全部通さずに部分練習にしました。そして発表会とは関係のない過去に弾いた好きな曲の楽譜を出してきて弾いたりしていました。
そして本番2週間前から本気でスパートをかけました。
この時期にやったことは、まず、あらためて楽譜を見ながら片手で指使いの確認。本番に向けて弾き込んでいくと、だんだん指使いがいい加減になってくるんですよね。それが原因で途中で弾けなくなって止まったり。
それから、途中で止まってしまった時にすぐにそこから弾き始められるかの確認。暗譜で何となく流して弾いていると、途中再開ができないケースがあります。曲の一番最初から弾き直さないと弾けない、なんてことでは本番困りますからね。
あとはもちろん、表現の追求です。
私はあまり早くからスパートをかけるよりギリギリで追い込むタイプです。自分なりのスケジュール感を掴んでおくとよいと思います。
2. 暗譜
大人にとって暗譜はハードルが高いかもしれません。でも、私は発表会でなくとも取り組む曲は毎回暗譜までするようにしています。
暗譜したほうが、楽譜から解放されて、表現を追求できる気がします。それに、楽譜を見ないで鍵盤を見るようになると、自分がどの鍵盤を押しているのか、はっきり意識できるようになります。
「左手のバスは、こんな音階なんだ」とか、「この曲は意外と低音部ばかりでできているな」という発見もあります。
子供の頃は、発表会の時だけ暗譜していました。大人になって再開し、今の先生から暗譜を勧められて暗譜するようになってから、新しい曲に取り組み始める度に「早く暗譜して楽譜から解放されたい~」と思うようになりました。
3. ドレスコード
発表会の形式によって服装は変わりますね。内輪だけの会なのか外部の方も来るのか、大きなホールか小さなサロンか。
服装に迷ったら、先生や一緒に出る方に聞くのがよいと思います。なるべく周りとトーンを合わせたほうが、変な目立ち方をせずに演奏に集中できますね。
今回の私の場合は、出演者は大人のみ数名で、30名くらいの小さなサロンに家族や友人を招いての会でした。和やかな小さな会ではありますが、一応顔見知り以外の方も来るわけなので演奏会ドレスにしました。
私のドレスは袖付き、かつスカートのボリュームはおさえ気味の無地でシンプルなもの。大ホールならキラキラスパンコールでもいいかもですが、小規模サロンならこれくらいで丁度良かったと思います。ちなみに同じドレスで昨年は子供の発表会に親子連弾で出ました(この時は大きな区民ホール)。
年齢と共に気になるのが二の腕。演奏会用袖付きドレスは選択肢が少ないので、早めに選んでおくことをお勧めします。
4. 人に聴かせる弾き方を目指す
基本的には、先生に指導された通りに失敗せず弾けたら、それでOKなのでしょう。
でも私は人に聴かせるなら、聴く人を惹き付ける演奏をしたいと思っています。簡単に言うと、途中で退屈させない演奏、です。
これはやっぱりプロの演奏が参考になりますから、自分が弾く曲と同じ曲のいろいろなプロの演奏を聴いて弾き方を研究します。
そして自分の演奏を何度も録音してテンポや音と音の間の取り方、音色等を調整します。
ただし、これは自分の演奏が完成しないうちからやると、どう弾くべきか混乱するので、演奏完成後にプラスアルファで研究していくことにしています。
5. 本番で練習の何割出せるかを念頭に練習
本番で練習の何割出せるかは人それぞれ。私は7、8割だと思っています。ある友人は5、6割だと言っていました。
本番は緊張もあるし、ピアノもいつも練習しているものとは違います。
いずれにしても、練習期間に十分完璧なレベルにまで持って行っておかないとならないわけなので、練習時間を十分確保できる環境は大事です。
それから精神的に安定して本番を迎えないと、すべて演奏に表れてしまいますから、心の余裕が持てるよう本番前はピアノに集中してピアノ以外のことにはあまり関わらない(やらない)で済むように環境を整えておくようにしたいものです。
私の場合は仕事を持っているので練習は基本的に夜。サイレント機能付ピアノで、いつでも思い立ったら弾ける状態にしていることでかなり助かっています。
6. 本番会場のピアノとの相性チェック
事前に本番会場のピアノでリハーサルができるなら、その時にタッチをチェックしてその感覚を本番まで忘れないようにします。
私の場合は、どのくらいの力加減でよいか、まずはトリルの部分をチェックします。そして高音と低音の響きをチェック。それから曲を弾きます。
本番当日の前に短時間のリハーサルしかない場合、上記を短時間で行わなければなりません。ですから曲は最後まで通さず、部分的に弾くだけにします。時間の問題だけでなく、1曲弾ききってしまうと本番前に集中力が途切れてしまうのでそのほうがよいと先生に教えていただきました。
それから、いつも練習しているピアノより本番のピアノのほうが良い物なら問題無しですが、公的なホール等だと古い年期の入ったピアノのことが多く、この場合はやや弾き方に工夫を要することがありますね。
7. 他の演奏者と比べない
他の方々は、上級レベルの曲で上手な方ばかり、なのに自分は下手でイヤになる…という心理には陥らないこと。
発表会はコンクールではないので競争じゃないと分かっているはずなのに、結構この心理にハマる人がいます。
でも私の場合、どんな演奏をしたいか、自分の目標があるので、周りに関係なく自分に集中していて、他の演奏者と比べることはしません。他の方の弾く曲を今後の自分の曲選びに参考とする程度です。
大人のピアノ発表会は子供の頃と一味違う
レッスンだけ続けていくのも良いですが、発表会の場があると、曲を完成させようと気合いが入ります。
曲の背景を調べたり、自分はどう表現したいかを追求したり、一つの曲に対して深く対峙することになります。その過程で自分という人間をあらためて見つめ直したり…。
大人になってからのこういった機会は貴重なので、私にとってピアノの発表会は、単にピアノを披露すること以上に自分を成長させるものとなっています。