このところのバレエブームで、大人になってからバレエを始める人が増えました。
私が小学生の頃、バレエを習っている子は自分を含めてクラスで2人。将来こんなバレエブームが来るとは思ってもいませんでしたね。
私の感覚的には90年代頃から大人初心者向けのオープンクラスのスタジオが増えてきたと記憶しています。
大人の初心者でも現役のバレエダンサーから直接指導が受けられるなんて、バレエを習うハードルは急激に下がったように感じました。いろいろな先生のクラスを自由に何クラスでも受けられるのはオープンクラスの良いところですね。
昼間は仕事をしていて趣味で夜にレッスンをする大人女子の場合、だんだんレッスンが楽しくなってくると、もっと上達したい、もっとレッスン回数を増やしたい、と思う人も多いでしょう。では上達するためにはどのくらいのレッスン回数が最も効果的なのでしょうか?大人の場合で考えてみます。
バレエ中毒になりがちな大人女子
私は子供の頃にバレエ経験があったので、19歳で再開したときはオープンクラスではなく、普通のバレエスタジオに入りました。バレエ団所属の先生が個人運営するスタジオで、小さな子供から大人までのクラスがあり、発表会もありました。
社会人になってからはバレエスタジオを続けていくのが難しくなり、オープンクラスに代えました。普通のバレエスタジオは子供の人数のほうが圧倒的に多く、大人は少数派でしたが、オープンクラスには大人から始めた初心者がたくさんいてびっくりしましたね。私は子供の頃の経験があったといっても中高生の時は全然やっていなかったので、初級から中級ぐらいのレベルのクラスを受けていました。
オープンクラスはチケット制でレッスン回数も自由ですし、仕事をしている大人女子は時間の都合もつけやすく、続けやすいし発表会もないので気楽です。
周りを見ていると、友達ができて楽しくなったり、お気に入りの先生のクラスを週に何回も受講したり、どんどんバレエにはまっていく人が多いですね。少しずついろんなことができるようになって、ますます楽しくなり、もっとレッスンをたくさん受けたい!と、毎日通うような人も出てきます。「あの人、いつ来てもいるな…」っていう人、いますよね。
ではレッスン回数が多い人は、バレエが上達しているのかどうか、というとそういうわけでもありませんね。子供と違って大人女子の場合、レッスン回数と上達度は比例しないと思います。
大人バレエのレッスン回数について検索すると、週2、3回が適当というアドバイスが多いようです。これには私も賛成で、回数が多くなるほどかえって悪影響があると思っています。
レッスン回数が多すぎることによる悪影響
- カルチャー感覚で楽しいことが優先になる。
スタジオに行くと友達が誰かいるし、おしゃべりが楽しいから、というカルチャー感覚になってしまう。
- 回数が多いために、1回のレッスンがおざなりになる。
レッスン回数が多いと体の使い方や先生の注意に毎回集中しなくなる。結果、レッスンを流しているだけになる。
- 体を痛める、ケガをする。
特に初心者は、まだ正しい体の使い方ができていないうちに、間違った体の使い方をしたまま回数を増やすと、体に負担をかけ、痛めたりケガをする。
- 「これだけたくさんレッスンしているのだから、自分は上達しているはず」と錯覚する。
必要以上にレッスンを受けているだけで、実際は上達していないのに上達している錯覚に陥る。
さてここで一つ、補足したいことがあります。
大人バレエの皆が本気でバレエが上達したいと思っているのかどうか?
上達はそこそこでいいから、楽しく体を動かせればいい、という人もいるでしょう。バレエをやる目的は人それぞれなので、それを否定はしません。
でももし、本気で上達したいなら、
そもそもオープンクラスでは上達しない。
ということも知っておいてほしいと思います。
これは以前通っていたバレエスタジオの先生に言われたことです。
注:ここで言う「オープンクラス」とは、大人向けオープンクラスのみを運営しているスタジオのことです。先生が個人運営するスタジオで受講料金の支払い方法をオープンクラス形式にしている場合がありますがその意味ではありません。
オープンクラスは90分のクラスレッスンがどんどん進むし、先生は個別に注意してくれません。自分のできないことはできないまま、解決がされないままになってしまいます。生徒が自由に出席したりしなかったりするわけですから先生の方も名前を覚えずらいし、個別に注意しずらいですね。
本気で上達したいなら、やっぱり普通のバレエスタジオで決まった先生に基本から継続的にみていただいて、個人的な注意をもらえるほうがよいと思います。
レッスン回数より大事なこともある
実は現在、私はレッスンをあえて週1回にし、クラスのレベルも以前より下げて基礎~初級クラスにして基本に立ち返ることをしています(トゥシューズレッスンは6年前にやめました)。
なぜなら、30年以上バレエを続けていても、やっぱり基本的な体の使い方ができていないと上達に限界があると感じたから。
床に対しての立ち方、足裏の筋肉の使い方、内転筋の使い方などなど、できていないことは挙げればきりがありません。回転が安定しないとか、バランスが上手く取れないという原因は、やっぱり基本的な体の使い方ができていなかったり、必要な筋力がついていないからなんですよね。
こういうことは、レッスンの時間だけでは解決できません。レッスンとは別の時間に、自分で研究したりトレーニングをする必要があります。プロのダンサーがレッスンの時間以外で筋力トレーニングをしているのは有名な話です。アマチュアの私が筋力トレーニングを何もしないで、ただやみくもにレッスンに通い詰めるだけでバレエが上達するわけがありませんね。
幸いにも最近ではプロのダンサーのトレーニング方法がyoutubeでたくさん紹介されていたり、整体や解剖学の側面からバレエでの体の使い方を解説するコンテンツが増えてきています。そういうものを参考にしながら、バレエが踊れる体作りをした上でレッスンに臨む、というスタイルもアリなのではないかと思っています。というわけで、私の場合は、ストレッチや体幹トレーニングを続けながら、週1回のレッスンに集中することでどこまで自分の体が変われるか挑戦中です。
まとめですが、一般的には「Q. 大人バレエが上達するためのレッスン回数は?」→「A. レッスンは週2、3回+筋力トレーニング等」だと思います。
むやみにレッスン回数を増やすのではなく、自分には何が不足しているのか、自分が上達するためには何が必要かを考えて気付くことが大事ではないでしょうか。その気付きを与えてくれる環境(教師)も大切な存在です。
私はマシンピラティスも始めました。
大人がバレエを学ぶ環境を知った上で自分の学び方を選択したいもの。