上達しないのはレッスンに頼りすぎのせい?レッスンのありがちな罠

レッスン

バレエが上手くなりたい!と思ったら、何をしますか?

レッスン回数を目一杯増やしたり、苦手な軸足のほうのピルエットを何度も練習し続けたり…。そんなことを私もしていたことがあります。でも、それで上達したかというと、半分イエスで半分はノー。

大人がバレエを上達させるには、レッスンを受けるだけでは足りないことにある日気が付きました。

 

上達するためのレッスンなのに、そればかりでは上達しない。難しいところです。

自分のバレエが変わらないのは、レッスンばかりに頼りすぎの可能性ありです。

間違った思い込みが上達の邪魔をする

例えば、こんな風な思い込み、ありがちではないでしょうか。

1. レッスン回数を増やせば上手くなる
2. 複雑で早いアンシェヌマンについていけるようになれば上級者
3. 現役プロの先生のクラスなら上手くなれそう

賛否両論ですが、私はこれらには疑問を持っています。その理由はこうです。

1.レッスン回数を増やせば上手くなる?

確かに週1回よりも週3回レッスンのほうが、上達はします。「動きの反応が早くなる」「パの知識が増える」「運動量が増えて筋力が付く」など、回数を増やすことのメリットはあります。でも、バレエで必要な体の使い方を理解した上で正しいレッスンを積んでいくならいいのですが、見た目の動きを追っているだけの状態で回数を増やすと、いつか行き詰まります。

レッスン回数を増やす時は、今一度、増やす目的を考えることをお勧めします。

2.複雑で速いアンシェヌマンについていけるようになれば上級者?

速いアレグロでも、ちゃんとつま先を伸ばして、かかとは床を押せてますか?これができていないのに順番だけついていけるようになることで、上達した気になっていませんか?

たまに、「頭の体操ですよ」と覚えるのに精一杯の、敢えて複雑なアレグロを出す先生がいますが、こういうレッスンは要注意ですね。本来子供に向けてやる指導だと私は思います。

3.現役プロの先生のクラスなら上手くなれそう?

ダンサーであることと指導者であることは別の能力です。現役プロの場合は、舞台に立つことが最優先の生活を送っているので、指導のほうはやっぱり二の次のことが多いです。

 

某現役プリンシパルが先生のオープンクラスを受けた時、先生が最初から最後までずっと不機嫌だったことがありました。しかもいつも来ている生徒が順番を間違えると「違う!」と叫んで怖い…。顔見知りの生徒には注意や指導を個別にしてはくれますが、それがなかなか伝わらなくてイライラしている様子も分かります。

毎週このレッスンを受けている方々は、私にはこんな風に見えました。

「プリンシパルでレベルの高い先生だから生徒には難しいことを要求してくる」つまり、「それに必死について行けばいつか自分も上手くなれるに違いない」という暗示にかかっているみたいに。

先生はきちんと指導ができる人であるべきで、プリンシパルだろうがなかろうが関係ないと私は考えています。現役プロであることと指導ができることは、別の能力ですね。私が現役プロの先生のクラスを受けるなら、その目的は、舞台人としてのオーラや佇まいを感じたり、見せ方を学ぶためです。

レッスンに頼り過ぎは要注意

さて、前項の3つに共通しているのは「レッスンに参加してさえいればいつかバレエが上達する」という思い込みです。私もそういう時期が一時期ありました。でも、こういうレッスンに今まで時間もお金もたくさん使ってきて、結果はどうでしょう。

こんなに長くバレエをやってきて、時間だけ見ればすごく踊れるようになっていてもおかしくないのに、その割には進歩していないような…。

 

先生もレッスン内容も自分に合っていて、自分は上達している!という人は、幸せです。何も変えることはありませんね。

でも、大人バレエでは伸び悩んでいる人が多いのではないでしょうか。子供と違ってやっぱり大人だからもう無理、と半分諦めていたり。

その理由は、実は、自分の上達をレッスンばかりに頼っていて、主体的に取り組んでいないからなんですよね。

大人バレエは主体的に取り組む

子供バレエは、ひたすら体に覚えこませる方法でもよいので、週6日レッスンなんてやってますが、大人は頭を使ってちゃんと考えた上でレッスンしないと、成長期の子供の体みたいにぐんぐん吸収してはくれません。

筋肉量も、30代に入ると減っていくので、筋肉量が増えていく子供と同じやり方でバレエをやっていてもだめなんです。しかも、子供より大人は体重が重いし、怪我しやすかったり、筋肉の疲労度も子供とは違います。

 

私の場合、先生やレッスンに頼り過ぎないと決め、知識を得ることとトレーニングによる強化を始めてから、自分で吸収したことを自分の体で次のレッスンで試してみる、という試行錯誤を繰り返すスタイルに変えました。そうすると一つずつ課題が解決されていき、次の課題も明確になってくるんですよね。つまり、効率的にレッスンを受けられるようになり、ストレスがなくなりました。

「先生やレッスンに頼り過ぎない」というのは、先生の言うことを聞かないという意味ではなく、自分の上達を先生やレッスン任せにしないということ。誰かが自分を上達させてはくれないんです。

もちろん、先生の指導に従うのは当然ですが、先生は生徒一人一人に毎回指導はしてくれませんから、自分で研究して試行錯誤することが必要です。

バレエって思っている以上にアスリートだということに気付くと、レッスンの受け方が変わってきます。

先日、バレエ団退団後、ピラティスやボディコンディショニングの勉強をしてバレエ教師をしている先生が、「バレエだけじゃなくて、何でもいいから別の運動もあわせてやるといい。バッティングでもね。すると、体が緩んで詰まりがとれたりして、バレエの動きが良くなったりする」と、おっしゃってました。

バレエとあわせて何かトレーニングを取り入れることの重要性を、ちゃんと勉強した先生は分かってますが、そうでない先生は何も教えてくれないので、自分で勉強していくしかないですよね。

私の経験から言えば、バレリーナ体型で身体条件の良い先生ほど、トレーニングや研究をしていない人が多いです(自分のためにトレーニングはしていても人に教えられるほどはやっていない)。だって、何も考えなくてもバレエができちゃう恵まれた体だから。生まれ持った運動神経の良さでバレエをやっているタイプの先生も同じです。

つまり、あまり恵まれていない身体条件でも頑張って努力してダンサーになった先生ほど、バレエのために必要な体作りを分かっているので、それが指導にも表れます。

私みたいに元々バレエに向いた体に生まれなかった人には、こういう点も先生選びのヒントになりますね。

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