バレリーナの股関節の位置を、体験してみた

トレーニング

先日、とある先生のセミナーに参加してきました。アンデオールするための方法のセミナーです。

この先生は、いわゆる一般的に言われているお尻の筋肉(深層外旋六筋)や内腿の筋肉を使って脚を外旋させる方法とは異なる、独自の方法で指導をされています。

そのトレーニング方法の詳細はここでは触れません。トレーニング方法を知りたい方には残念ですが、今回は別のお話です。

アンデオールとはちょっと別のことで今回、私にとっては衝撃的なことがあったんです。セミナーの始めに先生が私の股関節の位置を調整してくれたんですよね。まるで整体みたいに。股関節の位置を他人に動かしてもらったことは初めてで、そんなことができることを今回初めて知りました。さらに、この調整のあとにセミナーを受講した効果がすごかったんです。

バレエのための股関節の位置

ズバリ、股関節は骨盤の中でできるだけ中心に寄っていること、さらに体の前方にあることがポイント。一見、当たり前のようですが、股関節が左右に広がっている私にとっては、そんな体型はいわゆるバレエ向きの人の話で永遠に憧れだと思っていました。

私は左脚より右脚の長さが短く、膝を痛めたり、捻挫したりするのはいつも右脚。右の股関節を回すと、いつもギシギシ音がしています。

今回のセミナーで、最初に私の左右の脚の長さが違うことに先生が気付いて、すぐに調整してくれたんです。長さが同じになり、先生いわく「右の股関節を前の位置に持ってきた」とのこと。

その後、アンデオールのための一連のトレーニングを言われるがままにやってセミナーは終わりました。最後に先生から「股関節を中心に寄せたから、しばらく踊りやすいと思う。もっと中心に寄せられると思うけど」と言われましたが、その時は自覚はなく、バレエにどんな影響があるのかも分からず「?」で帰ってきました。

今回のセミナーを1回受けただけでアンデオールができるようになるわけではないし、まぁ、気長に教えてもらったトレーニングをやろうかな、くらいの気持ちでいました。

驚いたのはセミナー後最初の1週間後のレッスン。デベロッペの高さが上がり、パッセバランスも簡単に取れるし、ピルエットダブルもスコンスコンと回れて、自分の体じゃないみたいになってるんです。

これは股関節の位置が変わったから?踊れる人って、股関節がこういう風になってるのか!と、自分の体で体験できた感じです。ちなみにセミナー後の1週間、トレーニングは何もしていません。股関節の位置が変わって、重心が股関節の上にきちんと乗るようになったから、全ての動きが楽にできるようになったんだと思います。

今まで、腕はこうで、頭の位置はこうして、脇はこうして…とか、一生懸命考えてバレエをやっていたのは一体何だったんだろうか…。バレエって、こんなに簡単だったの?あまり頭でいろいろ考えずにバレエの動きが簡単にできてしまうのが、自分でもビックリでした。きっと条件の良い人にとってはバレエはそんなに難しくないのかも、ですね。

股関節を良い位置にはめるには

今の私の股関節も、放っておけばまた元に戻るでしょう。先生によれば、全身の力を抜いて、先生指導のトレーニングをすることで、股関節が良い位置にはまるようになり、やがて、それがアンデオールに繋がっていくのだとか。股関節を力で良い位置に動かすことはできないのだそう。

アンデオールできるようになるまで、腹筋や体幹エクササイズはやらないほうがよい。なぜならお腹が固くなって足からのエネルギーがお腹まで伝わらなくなる(繋がらなくなる)からだそうです。

お尻は締めて、とか、お尻の力でアンデオールして、とか、わりとこういう指導者が多い中、この先生のお話は全く逆。「バレエは全身運動ではない」のだそうです。

以来、レッスン中、私は全身に力を入れないことを心掛けています。意識するのは足裏(特にかかと)で床を押すことと、長年のクセで入ってしまうお尻の力を抜くこと、そして横隔膜を上げてお腹をぺたんこにすること。

そして、何といっても股関節の位置。セミナーでは先生のところの道具を使ってトレーニングしましたが、自宅ではできないので、道具を使わなくてもあの時にどんなトレーニングをしたか、それが股関節にどう影響したかを想像し、その感覚を思い出しながらバーレッスンをすると、いろんなことが解決していっています。

アンデオールを意識してお尻をガチガチに固めるのはNG。私の場合、体を緩めてレッスンすることが必要な気がしています。

この先生の指導は、解剖学的に筋肉を鍛えてバレエができるようになる方法ではなく、海外のプロダンサーが備えている体の状態に近付けることでバレエができるようになる方法です。

バレエが上達する方法はいろいろあるけれど、今回、「踊れる人の体を、自分の体で体験できた」し、まだ自分の体を踊れる体に変えられると実感できたのが何よりも収穫でした。

バレエの指導方法も指導者も、時代と共に変わってきています。自分の知らない可能性を発見できて、また一つ新しい扉が開いた感じです。

ちなみに最近、レッスンの帰りに歩いていると股関節の音がポキポキ鳴るんですよね。多分、レッスンではめた股関節が、日常の股関節の位置に戻る音ではないかな、と思います。

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