「つま先重心」をやめたら、使える体に変わった

レッスン

「つま先重心に」、と指導されること、ありませんか?

つま先重心とは、アテールで立っている時に足裏全体は床についているけど、重心はつま先のほうに常に置いている状態。こうしていると、すぐに動き出したり、すぐルルベにすることもできるので、それがバレエでは正しいことだと私もずっと信じてきました。

でも、実はそうとも限らないんです。今回は、「つま先重心」をやめたことで私の体が変わったお話です。

よくある先生からの指摘「つま先重心」

私がこれまで指導を受けてきた先生の中には、「つま先重心」という注意をする先生が比較的多かったです。ところが、私はこれが原因で使えない体にしてしまっていたことにある日気が付きました。

私はずっと外反母趾、O脚で、この体型は今さら治せない(多分)し、バレエでこれらが不利なこともよく分かっていたつもりでした。

ところがその原因が「つま先重心」と関連しているとは思ってもいなかったんです。

それに気が付いたきっかけは、掛け持ちでいろいろな先生のオープンクラスを受けるようになって、ある先生から指摘されたことと、「ヤムナ」です。

 

ある日、初めて受けるオープンクラスで5番プリエの時、私に「土踏まずを潰さないで」と指摘してくれた先生がいました(この先生は初対面です)。ずっと通っているスタジオの先生からは一度も言われたことがなかったので、帰宅してからもしばらくその意味を考え続けました。

土踏まずを潰さないように床に立つと、今よりも重心をかかとや足の小指側にのせることになります。そして自宅の鏡の前で1番に立ち、まずは何気なくいつものプリエをしてみました。

あれ?もしかして私、つま先と膝の方向が揃ってないのかも? つま先より膝が内側に入っている。じゃ、土踏まずを潰さないようにしてプリエをしたらどうなるの?

ちゃんとつま先と膝の方向が揃って、開いたプリエになる!それにすごく小指側(足の外側)の床を踏まないとならないので、これまでの重心の位置とは全然違います。この発見は衝撃的でした。

同じ頃にピラティスのプライベートレッスンで、ヤムナの資格を持った先生のセッションを受けたことがありました。(参考:ヤムナジャパン公式ホームページ

この先生が私の足を見て、外反母趾を治すワークをしたんです。具体的には、足の小指からかかと(足の外側)を、プラスチック?の剣山みたいなものにしばらくグッと押し付けるんです(すごく痛い)。その後床に立つと、足が立体的になって土踏まずが上がり、外反母趾の出っ張った骨が少し引っ込んでるんです。

え?どうして?と、未だによく分かりませんが、「どうやらもっと足の外側にも重心を置くことで、土踏まずが上がり、外反母趾も改善し、本来の正しい足の形になるらしい」ということが、ぼんやりと分かってきました。

 

こうして2つの出来事から見えてきたのは、「つま先重心」にしなければと意識してきたことで、私は土踏まずを潰して前重心で立つようになってしまい、ますます外反母趾を促進させ、足の小指側やかかとで床を押せない足にしてしまっていたということ。しかもそれがアンデオールを阻害していたんです。自分では股関節を外旋していたつもりが全然開いていなかったということですね。

「つま先重心」は正しいの?

そもそもつま先重心にしなさい、というのは、「いつでもルルベができるように」「いつでも引き上げていられるように」という理由からだと思います。具体的には、親指と人差し指の辺りに重心を置くよう指導されます。

私の体験では、この指導は年配の先生に多く、最近の若い先生はあまり言わないですね。バレエの教育としても考え方が2つに分かれるようです。

今の考え方は、母趾球、小趾球、かかとの3点で均等に重心をかける、というのが主流になりつつあるような気がします。

 

日本のバレエ教育では「引き上げ」がまず優先という指導が長くされてきました。でも海外では足で床を押すことで自然と引き上がる(踏み上がる)から「引き上げ」ではなく床を踏むほうを重視するようです。日本の古いバレエの先生は「引き上げ」を言い、最近の海外のバレエ学校へ留学経験のある若い先生はあまり「引き上げ」と言わないのはそういう理由だと思います。どちらの体の使い方が良いかは議論のあるところだと思います。

足裏に均等に重心を置いた結果は?

長年、ずっと慣れていた自分の重心の位置を変えるのは、最初は安定しなくて怖かったです。まずはプリエの間だけ頑張って意識しよう、今度はバーの間は意識し続けよう、と意識する時間を段階的に長くしていきました。

すると何と、

裏腿(ハムストリング)に力が入る

内腿(内転筋)にも力が入る

脚の付け根が引き上がる

骨盤後傾が直る

ことが分かったんです(私の場合)。

土踏まず側、つまり脚が内側に倒れていたのをしっかり立たせたことで、使われていなかった筋肉が動き始めたんですよね。それに連動して骨盤の傾きも変わりました。私はやや骨盤後傾気味だったんですが、これが正しい骨盤の傾きに直りました。

裏腿や内腿が使えるようになると、脚がアンデオールしやすくなるし、前腿ばかりに頼らなくなるので、不要な前腿の筋肉が今後落ちてくるのではないかと思います。

それまで、重心の位置が間違っているとは夢にも思わず、内腿を使わなければ!と一生懸命に内側に力を入れようとしていたことも、足が内側に倒れていく原因になっていたかもしれません。内腿の使い方は本来こうではなかったんです。

こうした経緯で、つま先重心を見直すことから始まり、自分の体の大改造が始まりました。結局、バレエが上手くなるためには、骨と筋肉の位置を正しい位置にしないとならないってことだったんです。やっぱり正しい姿勢・立ち方でないとバレエは上達しない。何とも理にかなっていると思いました。

バレエは見た目の形だけを繰り返し練習して身に付けるものじゃなく、体そのものをバレエが踊れる(踊りやすい)体に変えていく作業が、まず先なんだと思います。

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