バレエを習い始めると、必ず先生に言われるのが「引き上げて」ですよね。
でも、「引き上げ」のやり方を先生から教わったこと、ありますか? 私は…ありません。
結局よく分からないけど何となく体を上に持ち上げるのかな、と思いながらやってきた人、多いんじゃないでしょうか。バレエって、曖昧な理解のままやっているケース、結構あります。
でも、この引き上げ。実は呼吸法と密接に関係していることに、私は最近になって気が付きました。それに呼吸を使ってトレーニングすることでもっと引き上げられるようになるし、腹筋も鍛えられて一石二鳥なんです。
引き上げの誤解
大人になってバレエを再開した時、「引き上げて」と言われると、息をたくさん吸って、肋骨が広がって、肩が上がってしまうこと、私はよくありました。一生懸命、ボディを上に上げようとすると、こうなるんですよね。
ところが今度は「肩下げて、胸を下ろして」と言われるんです。じゃあ一体正しい引き上げって何? と思っていました。
段々レッスンを続けるうちに肩を下げて胸を下ろしていても、何となく引き上がっていられるようになってきたけれど、それでも今でも時々「肋骨閉じて」って注意されることがあります。
では引き上げって、体の中でどんな状態になっているんでしょうか。
息を吐ききった状態をキープする
バレエの先生は、曖昧な表現やイメージで説明することが多々ありますね。引き上げは「足と頭の先を上下に長く引っ張る」とか。もちろんそれは間違いではないんです。
引き上げの定義は先生によって違うかもしれません。でも私の実体験や調べた結果から、ボディ部分に関して言えば、こう。
引き上げ
- まず、息を吐いてお腹を薄くする。肋骨は閉じる。(この時横隔膜は上がった状態)
- その後は、呼吸してもお腹は薄いまま、肋骨も閉じたままをキープする。
かなり解剖学的な説明ですが、あくまでも私自身の個人的な分析です。
ピラティスを3カ月やって「引き上げってこのことか!」と気が付きました。
横隔膜は、肺と内臓の間にある筋肉。息を吸えば肺が膨らむので下に下がり、息を吐けば上に上がります。
つまり、息を吐けばお腹が薄くなり、横隔膜が上に上がり、引き上げの状態を作ることになるんです。この時には当然肩も下がっています。
ポイントは、引き上げの状態を作ったら、その後呼吸をしても、お腹は薄いまま、肋骨は締めたままの状態をキープすること。動くのは横隔膜と肺だけ。息を吸う時はできるだけ背中のほうに空気を入れます。
これが「ずっと引き上げている状態」です。
呼吸法で引き上げのトレーニング
ずっと引き上げている状態を作るためのトレーニングは、呼吸です。
私は自主トレで、この引き上げの状態を作ってプランクをやっています。
とにかく息を深く吸って、深く吐ききる。その間、お腹はずっと薄いままをキープ。息を吸うより吐くほうが大事で、吐ききった時にお腹をどんどん薄くして締めていくのが重要なポイント。
この呼吸トレーニングはプランクの姿勢でなく、仰向けに寝た状態で脚を立ててやってもよいと思います。これを続けると、腹筋の中でもインナーにある腹横筋が鍛えられます。
バレエでは、引き上げが楽にできるようになり、肋骨が開きにくくなってきます。お腹周りもスッキリ締まり、骨盤が安定し、体幹が強くなってきます。
腹直筋より腹横筋が大事
腹筋を鍛えようとすると、仰向けに寝っ転がって上体を起こすトレーニングをしますが、ここで鍛えられるのは腹直筋です。いわゆるアウターマッスルで、腹筋が割れて見えるようなところですね。
腹直筋を鍛えることも必要ですが、バレエでは腹横筋のほうが大事です。これが強くなると、
- もっと引き上げられる
- 体幹強化→バランス強化
に繋がります。
腹横筋は呼吸で鍛えられます。
ピラティスでは必ず呼吸にあわせて動作を行いますが、バレエの先生はそれほど呼吸の重要性について言わないんですよね。でも実はこれすごく大事。
「お腹引っ込めて」と注意されたら、息を止めて腹直筋をぐっと固めてしまうのではなく、呼吸を吐いて腹横筋を意識したこちらの腹筋の使い方をしたほうがいいかも、と思います。
自主トレだけでなく、バレエのレッスンでもプリエやカンブレの時などで深く呼吸することを意識すると、もっと体作りの効率が上がるし、踊りの表現力も付いてくると思います。
今回はあくまでも私自身の個人的な分析ですが、呼吸にはバレエの体作りのための大きなカギがあるように思います。